刺青・タトゥーについて

刺青・タトゥーとは、墨汁などの染料を皮膚内に留置させ皮膚表面に模様をつけた状態のことを呼びます。
昔からの和風な皮膚への装飾を『刺青:イレズミ』、最近の若者に良く見かける洋風な皮膚への装飾を『タトゥー』と区別して呼ぶようです。
専門的な呼称では、どちらの状態も『装飾性刺青(そうしょくせいしせい)』となります。

転倒した際にアスファルトなどが皮膚に入ってしまい生ずる"刺青状態"は『外傷性刺青』と呼びます。

(外傷性刺青は保険でレーザー治療が出来る場合があります。ご相談ください。)


タトゥー(刺青)除去の方法と流れ

タトゥー(刺青)除去方法には下記3つの方法があります

①皮膚の切除縫縮手術(せつじょほうしゅく)
刺青部分の皮膚をメスで切り取り、皮膚を縫い縮める方法です。
②皮膚の剥削術(はくさくじゅつ)
刺青部分の皮膚を削り、ヤケド痕のような瘢痕皮膚状態に変化させてしまう方法です。
レーザーによる治療
レーザー光を照射し、皮膚真皮内に留まる染料を蒸散・粉砕して除去していく方法です。

当院では刺青の部位・形より、『切除手術』でもキレイに治せると予想出来る場合に限って手術も検討しますが、ほとんどの場合レーザーによる治療を行っています。

施術の流れ

  1. 希望される場合麻酔を行います。ほとんどの場合で麻酔を使用。
  2. タトゥー(刺青)部分にレーザー照射します。
    大きさにもよりますが、小さいものなら数秒で完了します。
    背中全体のような広範囲治療では1時間以上かかることもあります。
  3. 軟膏とガーゼの処置をして終了です。

次回の治療まで通院の必要はありませんが、治療部位の確認として約2週間後頃に来院を指示する場合もあります。
施術後1~2週間くらいは患部の軟膏・ガーゼ処置を続けてください。
当日からシャワー浴は問題ありません。

レーザーによるタトゥー(刺青)除去のしくみ

高熱作用
レーザー光がタトゥー(刺青)の染料に当たった瞬間、強い熱を生じます。
この高熱作用でタトゥー(刺青)の染料が燃焼(蒸散)してしまいます。
レーザー照射直後から色が薄く変化していくのはこの作用によります。
衝撃作用
熱と同時に発生した衝撃が、タトゥー(刺青)の染料を粉砕します。
粉砕された染料は皮膚細胞に取り込まれ徐々に体外に排除されます。
この体の働きは非常にゆっくり(6カ月程度は続く)なので、照射後は長期間をかけて少しずつ色が薄くなってきます。

レーザーによるタトゥー(刺青)除去では、おもにQスイッチ・ルビーレーザー、QスイッチYAGレーザーを使用します。
「1億分の4秒」~「1億分の20秒」という超短発振のレーザー光線を利用することで正常組織(皮膚組織)をなるべく傷めず、刺青染料のみを選択的に燃焼あるいは粉砕させ、刺青状態を取り去っていきます。
(※粉砕...皮膚細胞が排除できる超微細な状態に染料を細かく砕くこと)

治療回数は皮膚内に入っている染料の量によって大きくかわります。
トライバル模様の真っ黒く皮膚を塗りつぶしたような刺青では20回程度の治療がかかる場合もあります。

当院での現在のレーザー治療は『刺青の色調』『皮膚状態』により、下記のように数種のレーザーを組合せて治療を行っています。

  • Qスイッチ・ルビーレーザー

    カライド利用が優れ照射野全体に均一なレーザー光照射が出来る 「ザ・ルビー」

  • QスイッチYAGレーザーは2機種を利用 「MAXレーザー」「メドライトC6」
    MAXレーザー
    ➡ どちらかというとガウシアンビーム型。
    刺青治療には尖った光が適します。
    メドライトC6
    ➡ トップハットビーム型:ルビーレーザーに近い先端が平坦なレーザー光線。
        (刺青除去には照射がマイルド過ぎるようにも感じますが・・)
  • フラクショナル・レーザー:2機種

    刺青治療の繰り返しによって痛めてしまう皮膚状態改善に有用なレーザーです。


タトゥー(刺青)除去。レーザー治療のメリット・デメリット

メリット

治療部位、治療範囲を選びません。
(一度に背中全面くらいまでの治療は可能です。ただし治療後のダウンタイムなども考慮すると背中全面の1/2くらいの治療範囲が無難かもしれません。)
いっぺんに全体治療をせず、分割して治療していくことも可能です。
切除手術ではないので皮膚を温存できます。

デメリット

治療回数が掛り治療期間も長期になる場合が多いです。
(手術なら早く治せるかというと、、そうでもありませんが・・)

レーザーでのタトゥー(刺青)除去では黒(墨汁)は確実に除去出来ます。
緑色・赤色・黄色・オレンジ色などが入った多色刺青では全てが取りきれないこともあります。
一般的には刺青の黒色が取れるだけでも皮膚状態の印象は変えられますが、多彩な刺青の場合、レーザー治療が有効でなく治療を勧められないこともあります。

なにも無かった元通りの皮膚状態には戻せませんが時間をかけて丁寧な治療を繰り返していけば十分キレイな状態に改善して行けます。

刺青を入れた際に既に皮膚表面にある程度の傷跡が出来てしまっている場合が良くあります。
(刺青部位を指でなぞると若干の凹凸が感じられるでしょう)
刺青がキレイに取りきれた痕に、やや凹凸が残ることは良く経験します。
そうした場合は刺青除去用レーザー照射以外にフラクショナル・レーザー照射も必要となります。
フラクショナルレーザーの登場によって、以前の治療よりよほど良い状態に近づけるようになりました。

レーザー治療でケロイド化するリスクがあるのか?

レーザー治療でケロイドが生ずることはほとんどありません。
私は非常に多くのレーザー治療経験がありますが、レーザー治療後のケロイドは数えるほどしか経験ありません。
(◎顔のホクロ除去:炭酸ガスレーザー使用・大学病院勤務時に1例、◎赤アザ・色素レーザーによる治療例:色素レーザーは熱発生が大きいのでトラブルを起こしやすかったのです。数例経験あります。◎フラクセルレーザー治療開始後のごく初期に1例)

ケロイド体質の人であれば刺青を入れた時点で皮膚に何かしらの異常が起こるでしょう。
既に刺青が皮膚に入っている人にはケロイドを注意して治療する必要はほとんどないと考えます。

『刺青のレーザー治療でケロイド状態に皮膚が悪化してしまった・・・』と聞くことがありますが、有り得ないことだと思います。
レーザーの照射出力・治療する間隔などが不適切なだけでしょう。
あるいは治療後の患部の処置が悪すぎた結果かもしれません。


一口メモ

『刺青・タトゥー』に対してレーザー光を利用した治療が出来るようになったのは、1990年代のQスイッチ・レーザーの開発によります。
余談ですが、QスイッチYAGレーザーはTATTOO・LASERと呼ばれた機種でした。
病的なアザの治療の為ではなく、実は刺青を消すために開発されていたのです。

刺青が消せるのであればアザ治療にもQスイッチ・レーザーが有効なのではないか?と、利用されたのがアザ治療(太田母斑のようなメラニンが原因するアザ)のきっかけだったようです。
刺青が一般的で抵抗がない米国であっても刺青除去の希望があるのは不思議に思えます(←昔の恋人の名前の刺青の除去希望などだった(?)のかもしれませんね・・)。

幸い、私は丁度このレーザー機器が革新的な発展を遂げる時期:1990年年代後半に大学病院形成外科・レーザー特殊外来で治療を担当していました。
標準化された治療法がまだなかったため、手探りの中で、多くの治療に携わる事が出来たことは私の大きな経験です。

症例紹介


タトゥー(刺青)Q&A

どうして刺青がレーザー治療で除去できるのでしょうか?

レーザー照射による、2通りの反応があります。
レーザーが刺青染料(カーボンなど)にあたった瞬間に生ずる光熱作用によって刺青染料自体が燃焼・消失する反応と、レーザーが刺青染料(カーボンなど)にあたった瞬間に生ずる圧発生・衝撃作用によって刺青染料が粉砕される反応です。
なお粉砕された刺青染料は非常にゆっくりと細胞が取り込み、体外に排除する働きをします。
Qスイッチ機能(超短時間のシャッターとお考え下さい)があるレーザーであれば、適切な治療で瘢痕をほとんど残さずに治療できます。

現在、Qスイッチ機能のあるレーザーはルビー・アレックス・YAGの3機種があります。
『Qスイッチ・ルビーレーザー』,『Qスイッチ・アレックスレーザー』では光のスポットサイズが大きく、レーザー光の波長も短いために光熱作用がとても強く起こります。
そのため、どうしても治療部位が『色素脱失(白抜け状態)』になる可能性が高まります。
(アザ治療と異なり、刺青では色素量が格段に多い為です)

墨による黒色の刺青であれば、『Qスイッチ・YAGレーザー』が治療に最適なレーザーと考えます。
さらにQスイッチYAGレーザーにもビーム型が異なるタイプがいくつもあります。
キレイに治したいのであれば、レーザー治療に精通した医師に相談すべきでしょう。

どうして治療は間隔を空けるのでしょうか?

同一部位治療は、2~3ヶ月のインターバルが必要です(個人差があります)。
治療後に生ずる、二次性色素沈着が消えるのを待つ必要があるからです。
二次性色素沈着がある時に治療すると自分の皮膚色が抜ける可能性が高くなります。
『刺青は消えたが、その形通りに皮膚色が白く抜けた...』となりかねません。

急いで治療したい場合は、低出力レーザー照射(レーザー・トーニング)やトランサミン・イオン導入などを併用することもあります。ハイドロキノン軟膏・トランサミン・ローション使用などを指示する場合もあります。

切除手術を勧められましたが、レーザー治療とどちらが良いのでしょうか?

幅が狭い(切除縫合が容易な場合)図柄の刺青でしたら、切除でもいいかもしれません。(当院でも場合によっては切除手術を勧めることがあります。)
皮膚の伸展能力はそれほどありません。
縫合したキズは広がろうとします。縫合直後は細い一本のキズであっても、半年後には幅広い目立つキズになる可能性が高いです。

ティッシューエキスパンダーという特殊な水風船を皮下に埋め込み、時間をかけて風船を膨らませ皮膚を伸展させる方法もありますが費用・時間がかかります。

レーザー治療で必ず刺青は除去できますか?

大抵の刺青は除去できますが、残念ながら治療できない場合もあります。
刺青とは皮膚真皮に染料を入れている状態ですが、最近の機械彫りでは雑に行わて、真皮下の脂肪層まで染料が入っていることがあります。
レーザーは脂肪層の深さまで到達しませんので取りきれません。ぼんやりと色が残ります。

また、以前に3人経験がありますが、蛍光(夜光?)塗料による刺青を見たことがあります。
治療の反応が予想出来ずお断りしました。

どうしてレーザー治療は高額なのでしょうか?

レーザー治療はアザに対する治療から始まりました。
平成8年の診療報酬点数改正によりアザ治療に関しては保険治療が可能になりましたが、レーザー治療は保険治療でも高額治療に該当します。

きちんとしたレーザー治療を行うには数種類のレーザー機器を用意しなければなりません。(刺青治療でも数種類のレーザーを組み合わせ行います。)
レーザーは非常に高額な医療機器ですから、病気でない自費治療にレーザーを用いる場合は高額にならざる得ません。
広範囲のレーザー照射では、『皮膚クリーム麻酔~皮膚注射麻酔~レーザー照射~治療部位の冷却』で3、4時間かかることもあるのです。

1回の治療でどれくらい取れるのでしょうか...?

"1回の治療でどの程度、刺青が取れますか?"との質問をよくいただきます。
次の症例の写真を参考になさってください。


症例

最近とても多い機械彫り刺青(墨の量・多い)

  • タトゥー(刺青)除去の症例3 before
  • タトゥー(刺青)除去の症例3 after

墨が多い場合は1回の治療での変化はこの程度です。
治療当初は墨の量が多く、レーザー照射はあまり強く出来ません。

レーザーを強く当てれば除去効果はあがりますが、皮膚に傷痕(肥厚性瘢痕)を作りかねません(ケロイド体質がない限りケロイドを生じることはまずありません)。
色素脱失の可能性もあります。

このような刺青の場合治療は7、8回~、治療期間は2年以上は必要と思われます。
(なお、回数がかかる場合、ある程度の色素脱失はあり得ます。)

最近とても多い機械彫り刺青(墨の量・少ない)

  • タトゥー(刺青)除去の症例4 before
  • タトゥー(刺青)除去の症例4 after

墨の量が少ない『Tattoo』であれば1回の治療でもかなり薄くなります。

2番目の写真は2回目治療を行う前の状態です。
皮膚が赤くなっているのは、クリーム麻酔の影響です。
この後に注射麻酔をさらに追加します。
Qスイッチ・YAGレーザーで治療しますが、麻酔無しの治療は大変な苦痛です。

これくらい反応が良い場合は、治療回数・期間も少なく除去できます。
5回程度・約1年半の期間を見て頂ければ充分かもしれません。治療後の皮膚に痕もほとんど残りません。

自分で入れた素人彫り刺青(墨の量・少ない)

  • タトゥー(刺青)除去の症例5 before
  • タトゥー(刺青)除去の症例5 after

1回の治療でほぼ除去できています。
茶色くなっているのは2次性色素沈着の状態です。
2次性色素沈着(こげ茶色)は3ヶ月程度で消えていきます。

女性に多いアートメイクも同様な取れ方が多いようです。
1、2回の追加治療で完全に除去できそうです。(この患者さんは1回治療で満足しました。)


広範囲のタトゥー(刺青)除去

広範囲(名刺大以上)の刺青治療の場合、麻酔無しでは治療は非常に辛くなります。
時間がかかりますがクリーム麻酔塗布(約2時間)、局所麻酔注射の後に処置を行うように勧めています。

超広範囲の場合、治療時間は全体で3,4時間かかることもあります。

  • 広範囲のタトゥー(刺青)除去の流れ 1
  • 広範囲のタトゥー(刺青)除去の流れ 2
  • 広範囲のタトゥー(刺青)除去の流れ 3
  • 広範囲のタトゥー(刺青)除去の流れ 4

タトゥー(刺青)除去治療に使うレーザー機器

Qスイッチ・YAGレーザー

刺青治療用に最も使用頻度の高いレーザーです。
注意していただきたいのはQYAGレーザーにも様々な種類があるということです。
刺青除去治療に関しては実は"一昔前のQスイッチYAGレーザーの照射"が優れます。

メドライトC6(『トップハット光』)よりも初期のメドライト、メドライトC3などの『ガウシアン・ビーム』が優れるのです。
また、赤の刺青には、QスイッチYAGレーザー・半波長532nmのレーザー照射が必要です。

Qスイッチ・YAGレーザー

Qスイッチ・ルビーレーザー

緑や青、紫といった色彩の刺青にはQYAGレーザーが反応しませんから、Qスイッチ・ルビーレーザー、Qスイッチ・アレックスレーザーのいずれかの用意は必須でしょう。
最近のQスイッチ・ルビーレーザーは多色・色彩刺青への反応が良いように思えます。

Qスイッチ・ルビーレーザー

フラクショナルレーザー

最近開発された画期的なレーザーです。
刺青除去に直接は作用しません。

刺青除去には、どうしてもQスイッチ系レーザーでの繰り返し治療が必要となります。
治療回数がかさむことにより、若干の皮膚色素の脱出(白抜け)や皮膚凹凸を生じてしまうことがあります。
その改善にはフラクショナルレーザーの追加照射がとてもよい効果を発揮します。
是非、刺青治療には合わせて使いたいレーザーです。

フラクショナルレーザ

(ノーマル)炭酸ガスレーザー

炭酸ガスレーザーは古典的なレーザーですがやはり有用です。
皮膚に対するどんな治療であっても上手く使えば効果的です。

(ノーマル)炭酸ガスレーザー

色素レーザー

他院で色素レーザーを刺青治療に使っていたのを見たことがあります。

色素レーザーは熱作用が非常に大きいので刺青治療には適さないように思えますが・・・

色素レーザー

施術費用

初診料 1,000円
再診料 500円
Tattoo除去 範囲によります
  • 自費治療・相談のみの場合は初診料1,000円です。
  • 自費治療・初診時に治療になる場合、初診料は不要です。
  • 保険適応疾患では、定められた初診料・再診料がかかります。

※ 表記の金額は、すべて消費税別です。

クリニック案内

住所
〒370-0828
群馬県高崎市宮元町274
電話番号
027-326-7603
診察時間
午前
10:0012:00
午後
14:0019:00
休診
木曜日、第2・4日曜日
(上記以外にも学会参加などで不定期に休診になることがあります)

現在当院に設置している治療機器

    Qスイッチルビーレーザー

    • The Ruby
      (医療承認・保険治療可・ノーマル発振装置付き)

    QスイッチYAGレーザー
    (2機種)

    • MAXレーザー
      (ロングパルス発振装置付き)
    • メドライトC6
      (肝斑治療が可能な機種)

    色素(ダイ)レーザー

    • Vbeam
      (医療承認・保険治療可)

    ロングパルスALEXレーザー

    • アリオン
      (脱毛用レーザー)

    ダイオードレーザー

    • コメット
      (脱毛用レーザー)

    フラクショナルレーザー(2機種)

    • フラクセル2レーザー
    • eCO2

    ラジオ波治療機

    • サーマクールCPT
      (美容目的 ラジオ波治療器)
    • テノール
      (美容目的 ラジオ波治療器)
    • eプライム
      (美容目的 ラジオ波治療器)
    • トゥルースカルプ
      (美容目的 ラジオ波治療器)
    • リファーム
    • イントラジェン

    炭酸ガスレーザー

    • スーパーパルス炭酸ガス レーザー

    IPL治療器

    • フォトRF/オーロラ
      (RS/DS)
    • eMAX
      (オーロラ+リファーム+マトリックスIR)

    それ以外の機器類

    • ウルセラ
      (焦点式・超音波治療器)
    • アクシダーム
      (美肌治療用器機)
    • イオントフォレーシス用治療器
      ×2台
    • ポライア
      (皮膚冷風装置)×2台
    • Dery
      (接触型・皮膚冷却装置)